安心して矯正治療を受けるために
矯正歯科治療を行う歯科医院はたくさんあります。
ただ、その中からどの医院に行けば良いのか分からない、選ぶ基準が分からないという患者さんが多いのも事実です。そこで、矯正歯科を選ぶ際のポイントを分かりやすくまとめることで、東海、知多、常滑エリアの方がより良い矯正歯科治療を受けることができるきっかけになればと考え、サイトを立ち上げることにしました。
矯正歯科医、そして自らも矯正歯科治療を受けたことのある体験者として、安心して矯正歯科治療を受けることができる様々な情報をご紹介します。
保険が効かず高額で、治療開始後に転院した場合はそれまでの料金を引き継ぐこともできない矯正歯科治療。医師によって治療方針も異なります。料金が安い、通いやすい、そういった理由で選び、後悔するのは患者さん自身です。そうならないためには、満足のいく矯正歯科治療を受けられる医院を、患者さん自身が選ぶことが重要です。以下の4つのポイントを、ぜひ参考にしてみてください。
矯正歯科専門の医院ですか?
矯正歯科治療を受ける場合、以下3つのタイプの医院から選ぶことになります。
- 1. 矯正歯科医が常勤で治療している歯科医院
- 2. アルバイトの矯正歯科医が治療している一般の歯科医院
- 3. 矯正歯科医ではない歯科医師が治療をしている一般の歯科医院
「矯正歯科」の看板は、実は歯科医師の免許さえあれば誰でも掲げることができるのです。ただ、矯正歯科治療の知識は非常に専門的です。長期の研修や治療経験、それらを何年もかけて身につけていくのが矯正歯科治療なのです。もちろん簡単に手に入るものではありません。
矯正歯科治療を専門に行う医院では、むし歯など一般歯科の治療は行いません。専門の知識を持ち、自信と真剣さがあるからこそ、矯正歯科専門の医院の価値があるのです。以下に歯科医院のメリット、デメリット、それぞれのまとめを記載します。
/ Type1 /矯正歯科医が常勤で治療している歯科医院
メリット
- 矯正歯科医による治療をじっくり受けられる
- 専門的な知識、技術がある
- 常勤の矯正歯科医のため、急患にも適切な対応が可能
- 同じ矯正歯科医が責任を持って最後まで治療する
- スタッフも専門的な知識、技術がある
デメリット
- むし歯治療は受けられない。
- 比較的料金が高い
- 医院数が少なく、遠方に通うこともある
- 料金や通う場所に問題がなければ、基本的にはメリットしかない
- 数軒の矯正歯科専門医院を比較検討して、相性の良い医師を探すことも大切
- むし歯治療に関しては、近郊の病院との連携により支障はない
/ Type2 /アルバイトの矯正歯科医が治療している一般の歯科医院
メリット
- 矯正歯科医による治療を受けられる
- 専門的な知識、技術がある
- 同じ医院でむし歯治療も受けることが可能
デメリット
- 治療日は月に1~2回
- 治療日が限られるため治療が雑になりやすい
- 適切な急患対応は治療日以外不可能
- 治療期間中に医師が替わる。
治療の引継ぎが適切に行われないことがある - 比較的料金が高い(院長と矯正医分が必要)
- 常勤ではないため治療日が月に1~2回という点が最大のデメリット
- 治療期間中に医師が替わることが多いが、優れた矯正歯科医と責任感ある院長のもとで治療を受けられれば問題ない
- 矯正歯科治療は長期にわたることを踏まえて判断する必要がある
/ Type3 /矯正歯科医ではない歯科医師が治療をしている一般の歯科医院
メリット
- むし歯治療と同じ医師が矯正治療も担当する
- 急患にも対応可能
- 同じ医師が最後まで治療する
- 比較的料金が安い
デメリット
- 矯正治療の知識、技術は矯正歯科医より劣る
- 治療方法や診断に偏りがある(独学など)
- 治療途中で転院をすすめられることもある
※転院の場合、料金は最初から払う必要がある
- 治療方法や診断の偏り、治療を完結できないこともあるのが懸念点
- 患者さんの状態により、矯正歯科医を紹介するか、
自らで治療を行うかの判断を下せるかが信頼できる医師かどうか見極めるポイント - 治療費の安さで選ぶのは要注意。安さには理由があることを理解しておく
認定医の資格を持っていますか?
現在、国内に約10万人いる歯科医師。
その中で、日本矯正歯科学会の認定医は歯科医師全体のたった3%です。(2018年1月時点)また、矯正歯科治療を行う歯科医院は20,000軒以上ありますが、ここには1人の認定医が何軒かの歯科医院に出向いて月に1~2回の治療を行っているケースも含まれています。
医院名に「矯正」の文字があっても、認定医ではない歯科医師による矯正歯科治療が行われる医院は多くあるのです。患者さん自身が、積極的に認定医であるかどうかを調べて判断することが重要なのです。(認定医ではなくとも、高い技術を持った歯科医師もいます。ただし、認定医であれば一定以上の技術力を持っていることが証明されています。)
日本矯正歯科学会によって証明された、矯正歯科治療を専門とする認定医による質の高い治療を受けることが、満足のいく結果につながる第1歩です。
東海、知多、常滑エリアにいる認定医は、日本矯正歯科学会のWebサイトで調べることができます。
都道府県知事の指定医院ですか?
矯正歯科医がいる矯正歯科医院の多くは、指定自立支援医療機関、顎機能診断施設として都道府県知事の指定を受けていることがほとんどです。
施設基準
- ・更生育成医療を行うために必要な体制を有している
- ・矯正歯科において、適切な医療機関における研究従事年数が(歯科では)5年以上である
- ・研究態様と口蓋裂の歯科矯正の臨床内容と関連が認められる
- ・矯正歯科を標榜している
- ・関係学会(日本矯正歯科学会、日本口蓋裂学会)に加入している
指定自立支援医療機関、顎機能診断施設、この表記がある歯科医院には、矯正歯科医が必ずいるということです。
また、国が定める以下の先天性疾患の患者さんに対する矯正歯科治療については、保険が適用されます。
国の定める先天性疾患
唇顎口蓋裂 ~ 6歯以上の非症候性部分性無歯症
自立支援医療の利用者負担について
健康保険適用の上、患者さん自身または世帯の所得状況に応じて、月額あたりの自己負担額の上限が設定される制度。
上限や制度の詳細は各区市町村の保健所にお問い合わせください。
親身に話を聞いてくれますか?
矯正歯科には上で紹介した認定医の制度があり、また歯科医師の中には歯学博士を名乗る医師もいます。もちろん、肩書通りの経験を積まれている医師が多いのは事実ですが、矯正歯科治療にあたってもっと重要なのは、その医師の人柄や治療に対する姿勢です。
下記のような観点で、患者さんご自身が確かめ、判断する必要があります。担当医師とのコミュニケーションは非常に大切です。時間とお金をかけて行う治療です。嫌な思いをする、不満が残る、という結果にならないよう、相談の段階から親身になってコミュニケーションをとってくれる医師を選びましょう。
- 患者さんに対し、納得がいくまで説明をしてくれるか。
- 院長の治療理念や方針が明確で、ホームページ上などで見ることができるか
- 検査後、矯正歯科治療についてじっくりと考える時間があるか。異様な勧め方をしないか。(考える時間を与えず期限を切って治療の決断を迫る医師も存在します)
説明不足、忙しそうで話しかけにくい、といった状況で納得ができないまま治療が進んでしまうことを避けるため、以下の点を念頭に矯正の相談に訪れると良いでしょう。
1. 装置、期間、料金、頻度の具体的な説明があるか
満足のいく結果を得るため、正しい取り扱い方法や注意する点、治療に関わる情報を具体的に説明してくれることが重要です。以下の点も含め、ご自身が納得できるまで確認するようにしましょう。
- 装置は1日何時間使用するのか?
- 使用する期間は?
- 治療期間の通院頻度は?
- 料金体系は?セット料金か?
- 調整料はどのようなときにかかるのか?
- 治療以外にも支払う料金があるか?
2. 気軽に質問することができる雰囲気か
忙しそうだから質問しにくい。気になることがあるのに、バタバタとしているから話しかけにくい。このように、患者さんが納得できていないままの状態が続くと、不満ばかりが募ることになります。
治療方法や期間、治療を受けることによって受ける影響など、どんなことでも気軽に質問することができ、親身になって答えてくれる医師のもとで治療を受けるようにしましょう。長期間にわたる矯正歯科治療、小さな疑問も積み重なることで大きなストレスになります。
3. お子さんの矯正歯科治療相談の場合、本人の治療に対する気持ちを確認して尊重してくれるか
お子さんの歯並びをきれいにしてあげたい。矯正歯科治療に対して親御さんが真剣に取り組む一方、本人が治療に積極的でなければ良い結果を得ることはできません。矯正の装置を使うことは本人にとって面倒なことが増えるものです。治療を受ける本人が「絶対に治したい」「歯並びを良くしたい」という意志を持っていることが大前提で、その点をしっかりと確認してくれる医師の治療を受けることが大切なのです。
矯正歯科治療の第一歩は良い医院選びから。十分な判断基準を持たず、安易に医院を決めることは避けましょう。専門医院かどうか?対応はどうか?納得のいく説明か?一生のうちに一度受けるかどうかの矯正歯科治療。慎重な医院選びで満足のいく治療を受けましょう。
他院で矯正歯科治療を行っている方へ
歯科医師の診断や治療法が適切か、別の歯科医師に第二の意見を求めるセカンドオピニオン。歯科医師と患者さんの良好な関係のもと、大学病院などに意見を求めることが多いのですが、中には患者さんが疑問、不安を感じて求めることもあります。他院で現在行っている治療や診断に対し、気になる点がある方はご相談ください。
矯正歯科医として最も悲しいのは、セカンドオピニオンに来られる患者さんの数の多さです。
「治療が終わったのですが、もう治っているのですか?」
「このまま治療を続けて治るのですか?」
「幼稚園児なのに、ガチガチに固定する矯正装置が必要でしょうか?」
お子さんの矯正歯科治療に対し、このように感じてセカンドオピニオンを求める親御さんが非常に多いのです。
子どもの矯正歯科治療は時間がかかります。歯並びがきれいになるのには、かなりの年月がかかるのも事実です。疑問や不安を感じても、結果が出るのはまだ先。それでも料金は前払いで発生します。
セカンドオピニオンにより、あらたに治療をすることは可能ですが、再度料金は発声してしまうのです(全額ではありません)。この料金前払い制度がある以上、治療を始める前にセカンドオピニオンを行うべきなのです。複数の話を聞くことも大切です。初期相談の上、十分に比較検討し、慎重に医院を選んでください。
満足のいく確実な治療のためには、日本矯正歯科学会の認定医がいる矯正歯科専門医院をお勧めします。じっくりと考え、矯正歯科治療を始めましょう。